米津玄師さんの作曲の方法
米津玄師さんの作曲の方法
自身の楽曲制作のみならず、Foolinの「パプリカ」や嵐への楽曲「カイト」など、楽曲提供も多岐にわたるなど活躍している米津玄師さん。
自身はあまりメディアに姿を見せることはないですが、制作した楽曲も多数にわたり、才能を発揮しています。
DAWソフトはSONER(現Casework by Bandlab)を使用しています。
作詞、作曲、演奏、ボーカルから、CDジャケットに使われているイラスト、アレンジ、プログラミング、演奏、ミックス、動画制作など全て1人で制作しています。
米津玄師さんは、DTMの出身のアーティストで、ボカロP出身でもあります。
DTMは打ち込みという特性上、楽器という制約がないため、通常の作曲法では考えられないような音を使用したり組み合わせを曲に取り入れることが可能になります。
最近、DTM出身のアーティストが増えてきましたが、米津玄師さんはDTMの音の使い方がとても上手く、アンバランスとも思える音も曲のアクセントとして上手く使っています。
このように、他のアーティストが今まで使って来なかった音を楽曲に取り入れ、全体と調和させるところが米津玄師さんの特徴ともなっています。
米津玄師の楽曲の特徴
「アイネクライネ」という曲は、音に注目すると新しい情景が見えてきます。
サビ前のシンセサイザーの音が独特な音で、この曲に独特の雰囲気をもたらし、他の楽曲には無いような印象をつくっています。
サビでは木琴のような音が流れ、この音だけだと他の音とリズムも違って違和感があるのですが、全体の中の一つの音として聴くと調和している感じがして来ます。
「ゴーゴー幽霊船」という曲は、ボカロP時代の感じもありつつ、今の米津玄師らしさも出ているような楽曲です。
アイネクライネと同様に、通常の音楽では使わないような効果音が数多く使われています。
しかも、曲が進むにつれてその音が変わっていくため、この楽曲の独特な雰囲気を醸し出しています。
また、「馬と鹿」での音の使い方も独特です。
こちらはラグビードラマの「ノーサイドゲーム」の主題歌であり、応援歌として書かれています。
この「応援」というメッセージを歌詞だけではなく音も使って表現しています。
「馬と鹿」ではスネアドラムの音が手拍子、バスドラムの音が足踏みのような音として使用されています。
マーチバンドの太鼓のような音も入り、応援されているような感覚になります。
「馬と鹿」は歌詞だけ見ると応援されている感じはしないのですが、音の使い方で曲として応援歌のように感じるのかもしれません。
「LOSER」はギターやベースのフレーズが格好いい曲ですが、歌詞の文字数が多く、普通のアーティストの曲に比べると1.5倍くらい歌詞が多かったりします。
一見、早口言葉のようで、歌うには覚えずらい感じもありますが、しっかりリズムに乗っていて、逆にメッセージ性の強い印象の曲に仕上がっています。
米津玄師の足跡と音楽観
米津玄師さんは、ニコニコ動画に自分で歌っていたものを投稿し始めて、ボカロ曲も投稿するようになったと言います。
14歳くらいに音楽をつくりはじめ、バンドのメンバーとMTRを買い、それからパソコンを使って音楽を打ち込むことを覚えたそうです。
パソコンとMTRを繋ぐ媒体にする為だけにハードシーケンサーを買い、打ち込み音源にギターと歌を重ねられるようになり、作曲の楽しさが倍増したそうです。
14歳から高校卒業までの間で、およそ100曲くらい作ったと言います。
米津玄師さんは、「最初はじめる時は別に音の良し悪しとか考える必要なく、ほんとに見た目、格好いいか、格好良くないかすごい大事」と話しています。
音楽はパッとひらめくんですか?との質問には、
「パッとひらめくというよりも、性格的に本当にこれで正しいのだろうか?と考えるタイプで、パッとひらめいた後に、もっと工夫できるのでは無いか?もっといい音楽になるんじゃないか?とこねくり回して、こねくり回して作るスタイルなので、結局また最初の案に戻ってくることなんて何度もあります。」
との事です。
また、
「昔は人に分かりやすい音楽というよりも、個人的な自分はこう思う!という音楽を作り続けていたけど、それで続けてもしょうもないなと思って、狭いところで狭いところで作っても堂々巡りだなと思った。今は人に分かりやすいようにおじいちゃんにもおばぁちゃんにも子供にも分かるような普遍的な音楽を作りたいと思っている。」
と話しています。
曲作りの時には、はじめに曲のお話みたいなものを作っているかという質問には、
「お話ではないけど、最初にイメージがあって、ここにこういう建物があって、どういう人が住んでてみたいな、そういうシュチエーションがあって、そこから広げることが多いですね」
と話しています。
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